.......

.......



ひこにゃんとたくさん遊んでテンションの上がった私。お天気が安定しているうちに彦根城へ。

彦根城は二重の濠に囲まれた城郭で、三層白亜の天守を頂く。初代藩主井伊直政から14代藩主井伊直憲に至迄の約260年間、一度も国替えや城攻めにあうことがなかったため、濠・山並も含め築城された400年前の姿を現在にとどめている。築城時には近隣の落城した城等から櫓や門、そして石垣の石等を持ち込み建てられているので、過去の歴史的遺産を知る上でも重要な史跡と言えるだろう。

今回は博物館から一番近い、すぐ斜前にある「表門」から入る。チケットを係りの方に切ってもらいながらフと横を見ると、行脚のお供になりそうな頑丈な杖が数本纏まって立ててあった。
なんでぢゃろと思いつつ入口を通過し、右を向くと果てしなく続きそうな石段が!!(笑) しかも段の高さは15cm位ありそうな段差である。そりゃ、御年配の方には杖があった方が登るに楽だわな。
一歩一歩ウキウキしながらも、階段にひーひー言いつつ足を踏み出す私めの脳裏を過ったのは、You Tubeで見た、この階段を登ってゆくひこにゃんのオフィシャル動画。私ですら「よっこらしょ」なんて言いながら登りたい階段を、ひこにゃんはあの足の長さで登って行ったのである。ひこにゃんナイスガッツ。

※お時間のある方は、是非You Tubeのひこにゃんを見てみてください。


この坂を「表坂」と呼び、階段の緩やかなコーナーを過ぎると石垣が顔を覗かせる。あの石垣の所まで行けば、本丸(お城の建っている部分)まであと約半分。さすがにお城は戦の時に戦闘用の砦となるだけあって、そう簡単には到達できないようになっている。けれど、たくさんの木々に囲まれてだんだんと階段を登って行くのは気持ちの良いものだ。
両脇から枝を伸ばしている木々は樹齢を感じさせながらもとても力強く、自然の森と呼ぶに相応しい。右手には400年祭の赤い旗が等間隔に並び、後ろを振り返れば先程までいた博物館の屋根。この城が完成してから400年の歴史を思い描き、一段また一段と、石を踏み締めて登る。
じきに石垣前に到着。ここは堀切(水のない堀)になっていて、石垣の向かって左側(大手門側)が嘉永年間(1800年代)の修理のときに積まれたもので、右側(上がってきた表門側)は築城当時のものだそうだ。
見比べると、築城当時の石垣の方は石の大きさもばらばらでカット面もいびつゆえ、大きい石の隙間を小さ目の石で埋めている感じ。改修した際の石垣は、大きさがほぼ揃っていて更には石のカット部分が直線できっちり組み上がっている。約200年の間の、技術の発展をも感じ取る事ができる石垣だ。

上を見上げる。地上約13m程の高さの所には非常時に落とし橋とされた廊下橋が掛っている。廊下橋の下を通過し、またちょっと石段を登ると「鐘の丸」に到着。時報の鐘が設置されていた跡地で、今は茶屋と広場になっている。時報の鐘の音が城下北側に聞こえづらい為にもう少し登った所に移設された。

廊下橋を渡り、廊下橋を中央として左右対象に建てられている白壁が眩しい重要文化財の「天秤櫓」を潜る。本丸が独立防御できるように建っており、瓦に記された印から長浜城大手門を移築したものとみられている。

現在「天秤櫓」は内部が特別公開されており、世界的な衣装デザイナー・ワダエミさんが手掛けた舞台衣装が特別展示されている。
彦根城周辺は時代劇の撮影に良く使用されるロケ地で、ワダエミさんが衣装を作成した映画『利休』も彦根がロケ地だ。

お城へはまだ石段を登る。ふぅ〜。
石段を見上げている私の横を、宅急便屋のお兄さんが駆けおりて行った。お疲れさまです(-人-)

石段を登った突き当たりに赤い傘と「鐘の丸」から移設された「時報鐘」が見えてきたら、お城まであと一息。もう目と鼻の先。


最後の関門で重要文化財の「太鼓門櫓」を潜り、ちょっぴり石段を登ると彦根城天守閣前広場到着。
広場は思っていたよりも広く、立派な桜が所々で花を咲かせていた。幹は太く、枝は広い。そして味がある幹の色はエメラルドに近く、日本画によく見受けられるような風合いに「本物だ!」と感動してしまった。

そして・・・。
おぉ〜。内濠から見上げていたお城が目の前に。
お城は頑丈に組まれた石垣の上に鎮座しており、白壁が眩しいシンプルな外観を持つ。きらびやかな装飾はないけれど、屋根は切妻破風(きりづまはふ)、入母屋破風(いりもやはふ)、唐破風(からはふ)、千鳥破風(ちどりはふ)を多彩に組み合わせ、他に類を見ない作りで美しい。

早速天守閣へ。
玄関で靴を入れるビニールを貰う。廊下の壁には明治時代に撮影された彦根城の写真や、お江戸遠征中の片足立ちひこにゃんの写真が貼り出されていた(笑)

気を引き締めて城内部に続く階段を登ると10帖程度の板張りの部屋が広がる。シャチホコの焼き物と飾り瓦が展示されており、ここから一層に登る階段が伸びている。階段は天守閣特有で傾斜がきつく、踏面の幅も狭い。登りやすい工夫として、踏面はつま先の方が低く、踵の方が若干高い傾斜がついているので落ちはしないだろうけれど、、、ちょっと恐いので手すりに捕まりながら登る。


一層は中央の二室を囲うように武者走り(廊下)が設けられ、思っていたよりも広い。
武者窓の横には「鉄砲狭間」「矢狭間」と呼ばれる、敵の来襲時に鉄砲や矢で防戦する為の狭間(B6程度の小窓)があり、緊急時にはこの壁を突き破って使用されるという。外壁からは白壁で塗られ判らないようになっており、内部は板張り仕様になっていた。
武者走りは良い感じの艶とすべすべ感。ついつい、静々と摺り足気味でつま先から着地するように歩いてしまった(笑)
一層から二層へは、更に急な階段を登る。←これ
踏面に傾斜はあるものの、階段自体の急勾配甚だしく、見上げるとこんな感じ。足で登るというよりは、手すりを掴んで腕力で体を手繰り寄せる感じだった。
二層も中央の二室を囲うように武者走り(廊下)が設けられ、室内部には飾り瓦等天守閣にまつわる展示物がガラスケースの中に並べられている。しかし、順路は三層が先なので三層に続く階段へ。

・・・今迄以上の傾斜で、階段の幅も狭くなります(爆)

こちらも手すりを掴んで腕力で体を手繰り寄せて登る。心なしか、登る人と降りる人が互いに十分に間隔を設け、順番を繰り合わせて一歩一歩踏み締めながら階段を昇り降り。やっぱり、皆も内心ドキドキしながら利用されていたようです。

三層到着。
思っていたより広く、こちらも中央に二室が設けられ、その外周部分が武者走り(廊下)。天井はとても高く、通し柱を使っていない構造は、彦根城と江戸城のみだそうな。
壁には「矢狭間」「鉄砲狭間」を完備し、更には二層の千鳥破風の屋根裏を利用して設けた一室(二個の隠し狭間付)に通ずる入口も設置!! 残念ながら隠し部屋には入れないけれど、凄いよなぁ〜。備えあれば憂いなしという事は分っちゃいるものの、戦いの中に生きるってこういう事なのかと、深い感銘を受けた。

窓から見える景色はこんな感じ。
JR彦根駅方面を臨む。天気が良くなかったので山並は霞掛って薄ぼんやりしているけれど、下の方の黄土色の部分が天守閣前広場。マメみたいに見えているのが観光のお客様。

さっき来た順路を戻り、急勾配の階段を降りて無事天守閣前広場に到着。
「着見台」でしばし景色を眺めてから、城の横を通り「黒門」方面に続く石段を降りて行く。

石垣添いには「昔道だったのかな?」という、草が生えている約1.5m幅の道らしきものが続き、桜は身を乗り出すようにして枝を伸ばしていた。その景色が『千歳月』に出てきそうな情景で、一人胸を熱くしてしまった。時代的には『千歳月』の方が600年は古いんだけど、琵琶湖も近いし、なんだかね。

「黒門」はお城の北側に位置しているので石段を降りるにつれ空気はひんやり。石垣に生えている苔はとても厚く、触るとふかふかしていた。
黙々と石段を降り、「西の丸」手前の石段(むしろ坂に近い)を更に下る。
「黒門」に続く道で高原のような景色と出くわす。
「ココを馬車や明治時代のクラシックカーが通ったら、さぞかし素敵だろうなぁ〜。」と思い、撮影。左手奥に見える土手は、平行している内濠の石垣に続いているようだ。

「黒門」からお城を出て、内濠を越えて名勝「玄宮楽々園」へ。
残念ながら、井伊直弼が生まれた「槻御殿(楽々園)」部分は月曜休館で入れなかったものの、内部で繋がっている為に「玄宮園」から御書院外観だけは眺める事ができた。屋根はこけら葺きで、なんとなく、懐かしさも感じるとても奥ゆかしい作りをしていた。
そして振り返ると・・・・。

何でしょう、このシュチュエーション!!

背景には彦根山の森と、天守閣。池の水面にはそれらが写り込み、線対称になっている。池と岸には柵もなく、せせこましい規制を感じない開放的な景色。こんなにも素敵な大池泉回遊式の旧大名庭園は、そりゃ名勝にもなりますな。
この大きな池に突き出すように建築されている臨池閣、実は旅館だから宿泊が可能なんだそうだ。夜、椅子に腰掛け池を愛でる・・・。贅沢!! お泊まりしたい!! けれど、庭から室内丸見えは恥ずかしい!!(笑)
池にはゆったりと泳ぐ錦鯉。様々な種類の植栽された木々。ライトアップされた夜景を想像するだけでも心ときめいてしまう。はぁ〜・・・素敵だ。

若干時を忘れ、池の周囲をしばし散策。

最後に築山にある「鳳翔台」へ。元は藩主がお客様をもてなす為に建てられたもので、こちらから眺める庭の景色は最良だ。現在は薄茶がお菓子付きで楽しめ、一服500円。
周囲は丈の短い草が生い茂り、そこに素朴な黄色や赤紫色の草花が咲いていて、実に素朴で味わい深い。
開け放たれた部屋に見える赤い毛氈が目を引いた。映画『利休』は、この「鳳翔台」が使われたそうだ。※旦那談


「玄宮園」を出ると正面には今朝方見かけた屋形船の「ゆらっと遊覧 彦根城お堀めぐり」発着所があった。まだ最終船の定員には余裕があるとのことだったので、予約。出航迄は約30分程度。
朝から何も食べずにココ迄活動していたことに気付き、近くの桜場パーキング横に出ていたテキヤで焼そばを食べる。桜場パーキングはありがたい事に、建てたばかりの綺麗な水洗トイレを設置しているので、出航迄の時間も安心だ。
ところが、日が斜になるにつれ、だんだんと肌寒くなってきた。
船上は寒いのか?! ハラハラしつつ出航を待つのであった。

彦根の旅 後編に続く


.......